MaintainX、UpKeep、Limbleは、いずれも設備の情報や保全作業をクラウド上で管理するCMMSです。CMMSとは、設備の台帳、作業指示、点検や保全の予定などをまとめて管理する仕組みを指します。
3製品の違いは、機能の数を数えても見えてきません。現場でどのように仕事を受け渡し、記録し、次の保全につなげるのか。その流れに沿って比べると、自社に合うものが判断しやすくなります。
日々の作業指示を広く回したいならMaintainX、設備情報と作業の自動割り当てを組み合わせたいならUpKeep、手順を再利用しながらタスク単位で現場を整えたいならLimbleが候補です。
ただし、オフライン利用、部品・購買、複数拠点といった条件は、製品名だけでは決まりません。どのプラン、どのモバイルアプリで使えるのかまで確認したうえで選ぶ必要があります。
MaintainX
こんな人に
全プランで作業指示を件数無制限に扱い、設備階層と現場作業をつなげたい
UpKeep
こんな人に
設備の履歴や状態を追いながら、作業の優先順位付けや自動担当割り当てを進めたい
Limble
こんな人に
計画作業、突発作業、依頼をタスクとして整理し、標準手順を繰り返し使いたい
まずは、日常の保全業務に直結する違いをまとめます。
| 比較項目 | MaintainX | UpKeep | Limble |
|---|---|---|---|
| 設備台帳 | 設備と構成要素を親子関係で管理 | 履歴、保証、減価償却、状態監視を含む資産追跡 | モバイルで設備階層を表示。権限は拠点単位が基本 |
| 作業指示 | Basicを含む全プランで件数無制限 | 作成、優先順位付け、追跡、自動担当割り当て、通知 | 計画・非計画の作業指示、依頼、予防保全などをタスクで区別 |
| 予防保全 | 繰り返し作業を設定。メーター基準はPremium以上 | 時間、メーター読取、AI推奨間隔で設定。予定管理はPremium以上 | 予防保全を計画タスクとして作成 |
| 点検と手順 | 点検項目、署名、条件分岐を利用可能 | カスタム点検表はPremium、署名はProfessional | 複数形式の入力項目と条件付き動作を手順に設定し、再利用可能 |
| オフライン | モバイルで作業指示を更新し、再接続後に同期 | Professional以上 | 新モバイルアプリが対応 |
| 部品・購買 | 部品在庫と購買発注はPremium以上 | 在庫、再発注点、購買発注、在庫原価はPremium以上 | モバイルで部品一覧を扱える。新アプリの購買は今後追加予定 |
表だけで決めず、自社で頻繁に行う作業がどの流れに合うかを見ていきましょう。
MaintainXは、設備とその構成要素を上位から下位へ親子関係で整理できます。生産ラインの下に機械、その下に部品、という形で台帳を組み立て、設備にひもづく作業履歴を追いたい場合に検討しやすい設計です。作業指示はBasicを含む全プランで件数無制限なので、まず日々の依頼や修理をデジタル化し、必要に応じて上位の機能を足していく進め方ができます。
UpKeepは、設備の履歴、保証、減価償却、状態監視を含む資産ライフサイクル(取得から使用中までの履歴)の追跡を掲げています。作業指示では、作成や追跡に加えて、優先順位付け、自動担当割り当て、モバイル通知まで扱います。設備情報を見ながら誰が次に対応するかを整理したい現場に向くかどうか、確かめてみてください。
Limbleは、計画済みの作業、突発作業、現場からの依頼、予防保全、部品のしきい値に応じた作業を、それぞれタスクとして区別します。保全部門の外から届く問題報告を作業依頼として受け、保全側のタスクにつなぐ運用を組み立てられます。設備階層は新しいモバイルアプリでも表示できますが、公開情報では階層をどこまで深く作れるかは確定していません。台帳の構造が複雑な場合は、実機で確認するのが確実です。
予防保全とは、故障してから直すだけでなく、時期や使用量を基準にあらかじめ作業を予定する方法です。3製品とも計画的な保全を扱えますが、設定の方法と、必要なプランの境目が異なります。
MaintainXは、繰り返し作業指示によって予防保全を組み立てます。Basicは月2件まで、Essential以上は無制限です。稼働時間や使用回数などのメーター値を基準にする保全はPremium以上なので、カレンダー中心で始めるのか、設備の使用量まで条件に入れるのかを先に分けておくと選びやすくなります。
UpKeepは、時間、メーター読取、AIが推奨する間隔を使って繰り返し保全を設定できます。ただし、予防保全のスケジュール管理はPremium以上です。設備の状態や履歴も台帳側で追跡できるため、導入前の確認では、今使っているメーター値や記録をどう登録するかまで試しておくと判断しやすくなります。
Limbleでは、予防保全を計画タスクとして作成します。今回確認できた材料では、MaintainXやUpKeepのようなメーター基準の公開条件までは比較できませんでした。機能がないという意味ではないので、使用量を起点にした保全が必須なら、デモで設定方法を確認してください。
MaintainXでは、モバイルで作業手順や点検項目を開き、署名や条件分岐(入力内容によって次の項目を切り替える仕組み)も利用できます。点検結果によって次の質問や対応を変えるような作業に使えるかどうかは、実際の帳票を持ち込んで試すと具体的に判断できます。
UpKeepでは、カスタム点検表はPremium、署名の取得はProfessionalで提供されます。必要な点検項目と承認方法が別々のプラン境界にあるため、点検表を作れるかどうかだけでなく、完了時に誰の署名を残すのかまで要件に含めておくことが大切です。
Limbleは、チェック、テキスト、数値、選択肢、写真やファイルといった入力項目を手順に設定できます。選択した結果に応じた動作も組み込めるうえ、作った手順一式は予防保全、作業依頼、作業指示のテンプレートとして再利用できます。同じ点検を複数の設備で繰り返す現場では、標準手順をどこまで共通化できるかが確認ポイントになります。
通信が不安定な設備エリアでは、モバイルアプリがあるかどうかより、オフラインで何を更新できるかが重要です。MaintainXはオフラインで作業指示を更新し、再接続後に同期できます。UpKeepのオフラインモードと自動同期はProfessional以上です。Limbleの新しいモバイルアプリは、作業の作成・完了、設備階層、部品、QR、依頼承認、オフラインに対応しています。
予備品については、MaintainXの部品在庫と購買発注、UpKeepの在庫数、再発注点、購買発注、在庫原価は、いずれもPremium以上です。Limbleは新モバイルアプリで部品一覧と部品情報を扱えますが、購買は今後追加予定とされています。部品の残数を確認できれば足りるのか、発注や原価まで一連で管理したいのか。ここを分けて考えてください。
公開されている米国向け情報では、MaintainXはBasicが0米ドル、Essentialが年払い換算で1ユーザー月額20米ドルまたは月払い25米ドル、Premiumが年払い換算65米ドルまたは月払い75米ドルです。Enterpriseは個別見積もりです。Basicは無料で継続利用できると案内されていますが、メーター基準の保全、部品・購買、APIはPremium以上、複数拠点管理はEnterpriseです。
UpKeepはEssentialが1ユーザー月額24米ドル、Premiumが55米ドルです。ProfessionalとEnterpriseは個別見積もりです。無料の依頼者席と無料トライアルは案内されていますが、無料プランは今回の公開情報では確認できませんでした。また、導入・トレーニングには500米ドル、1,500米ドル、5,000米ドルの一回払いパッケージがあり、Enterprise向けは個別見積もりです。
Limbleは月額契約で、Enterpriseはライセンス数などに基づく個別見積もりです。具体的な金額は公開されていません。コア製品にはセットアップ費と保守費がない一方、追加の導入支援や複雑な連携では費用が加わる場合があります。見積もりを取るときは、利用者数だけでなく、支援や連携の範囲もそろえて比べる必要があります。
注意
料金は2026年8月5日に確認した米国向けの米ドル表示です。請求周期や課金単位をそろえ、日本円価格、日本からの契約可否、最低利用数や契約条件を契約前に確認してください。Limbleの非公開金額を0円として比較することはできません。
3製品はいずれもクラウド型で、今回確認した料金・購入情報は米国向けまたは米ドル基準です。
日本語対応については、MaintainXとUpKeepとも、日本語の画面、モバイル、ヘルプ、サポートに関する公式の明示を確認できませんでした。これは日本語に対応していないという意味ではありません。Limbleの新モバイルアプリは2026年時点で英語以外に未対応で、日本語のWeb画面、ヘルプ、サポートも確認できませんでした。
また、日本円の価格、日本専用の購入ページ、日本からの契約可否は、3製品とも今回の公開情報では確定していません。日本で使うなら、デモや商談の場で、契約主体、請求通貨、日本語対応の範囲、サポート時間を確認しておきましょう。
複数拠点で使う場合の条件も分かれます。MaintainXの複数拠点管理と全拠点レポートはEnterpriseです。UpKeepも複数拠点モジュールや信頼性・停止時間の追跡をEnterpriseに含めます。Limbleは利用者の役割を拠点単位で割り当て、Enterpriseでは独自の役割を設定できます。拠点をまたいだ閲覧・編集の権限を誰に与えるかまで決めてから、同じ運用をデモで再現してみるとよいでしょう。
MaintainXは、作業指示を件数制限なく始め、設備階層とモバイル作業を結びつけたい場合の候補です。ただし、使用量を基準にした保全や部品・購買まで必要ならPremium以上、複数拠点ならEnterpriseを前提に費用を見ることになります。
UpKeepは、設備のライフサイクル情報と、優先順位付けや自動担当割り当てを含む作業管理を一緒に整えたい場合に検討しやすい製品です。オフライン、署名、API、複数拠点はそれぞれ必要なプランが分かれるため、最初に運用要件を一覧にしてから見積もる進め方が向いています。
Limbleは、タスクの種類を分けて扱い、入力形式の異なる手順をテンプレートとして再利用したい場合の候補です。新モバイルアプリで部品やオフライン作業も扱えますが、購買機能の移行状況、日本語での利用、公開されていない料金は、デモと見積もりで確認する必要があります。
Q.無料で始められる製品はある?
A.MaintainXはBasicを0米ドルで継続利用できると案内しています。UpKeepには無料トライアルと無料の依頼者席がありますが、無料プランは今回確認できませんでした。Limbleはデモを案内しているものの、無料プランやトライアルの有無は公開情報から確定できません。
Q.通信できない現場でも使える?
A.MaintainXはオフラインでの作業指示更新と再同期に対応します。UpKeepはProfessional以上でオフラインモードと自動同期を提供します。Limbleの新モバイルアプリもオフラインに対応します。ただし、実際に必要な画面や入力項目がオフラインの対象かどうかは、導入前に現場の端末で確認してください。
Q.3製品とも状態を基準にした保全ができる?
A.MaintainXはPremium以上でメーター基準の保全を提供し、UpKeepは時間、メーター読取、AI推奨間隔による繰り返し保全を扱います。Limbleは予防保全を計画タスクとして作れますが、今回の材料ではメーター基準の条件まで比較できませんでした。必要な場合は、未確認を非対応と決めつけず、デモで確かめてください。
確認日: 2026-08-05(記載の各公式ページで確認。価格などは変わることがあります)
MaintainX
UpKeep
Limble CMMS